SOSを発信する(1)

生澤愛子との生活
Aiko Ikizawa「いま、ここにあるもの」2024年

 怒涛のブログ更新をしている最中、わたしは卵が食べられなくなってきた。もともと卵料理は大好きで、わたしは母親の作るカレーピラフのオムライスが一番の好物であった。7月あたりからどんどん肉や魚が食べられなくなっていったのだが、ついに卵まで難しくなってきてしまったのか。肉や魚は、もしかしたら夏バテなのではないかと思っていたのだが、ここ最近涼しくなった今でも全く食べようとも思わない。

 先ほど愛子とよく行く近所のカレー屋に行ってきて、いつも注文するカレーにゆで卵トッピングをしたのだが、前のように美味しく食べられなくなって驚いた。悲しい。とうとう卵まで制限がかかり始めたのか…。いつも食べているものでも、今までのように美味しく食べられないなという違和感を感じ始めたら、一旦は勇気を出して食べることを辞めてみてほしい。期間をあけて食べてみたら、よりその食べ物に対して違和感を感じている自分に気がつけるはずである。実はわたしが食べるものに制限がかかってきているのも、来年以降プロジェクトメンバーで取り組む何かの準備に向けて、体質が変わってきているらしい。取り上げられている気分ではあるが、これも生まれる前に立てた計画の一環らしい。ポジティブな変化だとモーニング・ページでパラレルセルフが言ってくれたが、本当だろうか。本当に良い変化であったらいいな。

 これだけブログで様々なことを書いているのだが、わたしは実はSNSが苦手である。LINEのような1対1のコミュニケーションなら全く問題ない。10名以上のグループLINEになってくると途端に発言することが億劫になる。誰かがいるから別にわたしが言わなくてもいいだろと思ってしまっている節がある。SNSで多数に呼びかけるなんてもってのほかである。周りに見える形で記録が残ることが怖くて、わたしはSNSではInstagramのストーリーしか使わない。

 そんな性格であるので、何か困っている時に「助けてください」とSOSをすぐに求められる人のことが羨ましい。わたしにはハードルが高いことである。信頼している人や親友、家族などに助けてと1対1で伝えることであればわたしにとっては容易である。だが、大多数に向かって、助けてくださいと伝えることはわたしは出来ない。実際のところ、会社の上司にもSOSを出すのは難しい。なぜだろう。わたし自身が勝手につくりあげているその人との距離感の問題なのだろうか。

 愛子も同じく、困っている・助けてほしいとそのまま伝えることは難しいことだと言っていた。困っていることを伝えたり、周囲の大人の期待に応えられないと心身の安全が脅かされるという経験を何度もしてきたそうで、SOSを求めると怖い思いをするという方程式が出来上がってしまっていたという。

 愛子は作品がECサイト上でしばらくまた売れなくなってしまい、貯金が減り始めた時にそろそろ動かさないとまずいと思った。わたしも彼女から話を聞いて初めて知ったのだが、現代アートは手数料の相場が異様に高い。どこかのギャラリーで個展を開くとすると、売上の30%〜50%を手数料としてギャラリーに納めなければならない。某百貨店ではこの手数料が80%以上とも耳にした。ギャラリー側が人を呼んで集客したり、何かしらサポートをしてくれるのであればこの手数料でも納得出来なくもないが、アート作品だと1点あたりの単価も決して安くはないはずなので、なかなか高額な手数料である。

 愛子はこの現代アートの市況感に疑問を持っていて、何か新しい販売方法がないかどうかを模索していた。作品の単価は徐々に上がってきていて、単価が上がるにつれてECサイトでの販売が難しくなりつつあったのだ。

 そこで、愛子はここでSNSで前世がジョージア・オキーフであること、そして新しい販売方法がないかどうか模索していることを発信した。愛子の作品が純粋に好きで購入してくれる方との新しい出会いや、生まれ持った才能を活かして生きていける人を増やしたいという愛子の想いに共感してくれる人に作品を届けたいという気持ちから、困っているので助けてほしいと勇気を出して発信したのである。

 すると何名かからメッセージが届いた。こんな販売方法ありじゃないか?というアイディアから、応援のメッセージなど様々な連絡があるなかで、1つ目に留まったメッセージがあった。都内でとあるレストランを営む経営者が、「一緒に話しながら何かしら手伝えることがあれば…」というような連絡をくれたのだ。後から分かったことだが、この経営者は宇宙に帰ったときの意識レベルが1万6000くらいある、シリウスBの出身の光側の魂を持つ人であった。

 愛子がそのレストランの隣の駅に行く機会が急遽出来たので、SNSでメッセージをくれた経営者に、急にそちらの方面へ行く用事が出来たが今日は会えるかどうかというメッセージを投げてみた。すると、たまたまそのレストランがお休みだったそうで、連絡した日にそのまま会えることとなった。

 そのレストランは、店内の壁の一面が白く広い壁であり、作品を並べるのに適した店内であった。愛子が現代アートに対しての違和感やアーティスト達が今置かれている境遇などを経営者に伝えたところ、自由に使ってもらっていいと個展会場として使用することを快く提案してくれた。(続く)

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