人生は意識レベルでできている(2)

生澤愛子との生活

 そして愛子は中学生1年生の7月にとうとう意識レベルが100から12まで下がった。『パワーか、フォースか』でも記載されていない測定不可のレベルである。意識レベル20未満の中でも限りなく死に近い意識レベルだったのだろう。本書では、「長生きするための措置を講じず、「受動的な自殺」を選択するのです(p.109)」と記載されている。

 もともと痩せ型だったのだが、食べる量もそこまで変わっていないにもかかわらず、徐々に体重が増えていく。この時期に自殺をしようとベランダに足をかけるまで追い詰められていた。理性的に考えれば、将来何年後かには辛くない未来が訪れるということは想像できてはいるのだが、1日1日があまりにも長く辛いので、耐えられないので死にたいと思っていたという。

 ベランダに足をかけていたときに、家族が帰ってきた。慌てて愛子は部屋へ戻ったのだが、もしあのまま1時間くらい1人で過ごしていたら飛び降りていた可能性が70%であったそうだ(キネシオロジーテストによる)。慌てた愛子のパラレルセルフが家族を家に早く帰らせるようにしたのである。

 意識レベル20未満のレベルは鬱状態のようなイメージをすれば相違ない。1日が1ヶ月〜3ヶ月くらい尋常に長い時間を過ごしている感覚があり、辛い時間が永遠に続くのではないかと錯覚してしまうような感覚に陥っていたそうだ。早く1年が過ぎてほしいと思い、1日終える毎にカレンダーにチェックを入れていたという。

 また、事故死が起こりやすいのもこの階層であると本書では記されている。この地球上で生きていくうえで、一番生きていくことが困難であるのがこのレベルであると言える。このレベルは今日時点で地球上に1%未満しか存在していない。愛子は自殺も出来ずに生き続けるしかないことに絶望をしていた。あまりに辛い毎日を送りながら、「なんで地球に来ちゃったんだろう、どこかへ帰りたい」と思っていたという。実家にいるので、これ以上どこに帰ったらいいのかも分からないが、なぜかそのように思っていたという。

 このころに、どこかから「あなたは大人になったら大多数の人とは違った人生を歩めます。今は辛いと思うけど頑張って」という声が聞こえてきた。これを聞いて、なぜその声を信じられたかは当時は理由が分からなかったが、「そうなんだ」と素直に信じることが出来た。この声に励まされたのである。

 愛子は中学1年生の7月から中学2年生の4月まで、ずっと意識レベル20のままを維持する。そしてその後、中学2年生の5月ごろにこの意識レベル30台となった。20よりかは少し階層が上がるものの、とにかく毎日悲しいのだそうだ。なぜ悲しいのか理由も分からない。理由も分からず涙が出てくるという。(続く)

 この意識レベル30というのもまだ死に近いレベルである。本書では、他人に対して攻撃を仕掛けることも正当化してしまうような残酷な側面を引き起こすということも記されている。これまで愛子はそこまで努力をしなくても勉強が出来ていたのだが、このレベルのあたりで勉強がどんどんわからなくなっていくという経験をするのである。

 中学2年生の6月、愛子は意識レベルが80台となる。本書では、このレベルだと生きることへの希望を見失ってしまい、ただ提供される食べ物を食べて生きるというような受動的な生き方となってしまうと紹介されている。愛子はご両親に言われて部活などはやっていたが、自分の意志ではなく、言われたからやっていたような状況であった。

 中学2年生の7月、意識レベルが110まで上がる。中2になってからはだいぶ生きやすさを感じるようになった。今思えば意識レベル20台を長く過ごしていたため、麻痺しているような感覚だったのだろう。まだこのときは足が速く、吹奏楽部であったのにリレーの選手に選ばれるくらいであった。恐らく小学生の時の意識レベルの貯金があったのだろう。勉強もまだ平均よりはでき、成績も良かった状態であった。

 中学2年生の8月、意識レベルが160台へまた上がる。この年は部活の大会が早く終わってしまい、時間に余裕が生まれてつかの間の平和な時間を過ごせていたタイミングであった。夏休み期間だが大会も終わったので部活の練習もなくなり、ゆっくりした時間を過ごしていた。なぜかわからないが生きているのが辛くて、数日おきや1日のどこかのタイミングでその辛さの波が来て泣くこともあった。

 中学2年生の9月、意識レベルがここで一気にまた下がる。意識レベルが80台となった。ここで愛子は8月まで通っていた中学とは異なる中学校へ転校をした。そして9月になりすぐにどうしようもなく悲しくなり、中学1年生の4月と同じくらい辛い気持ちになった。愛子は引っ越しをする度にこのような辛い気持ちになるのだと思っていた。まさか意識レベルを落とす計画をしていたなんて…。

 愛子はこの頃にまた、なぜか分からず体重が急激に増える。食事の量が変わったわけでも、お菓子をたくさん食べすぎていた状態でもなかった。1年で10キロほど体重が増えたのである。この頃に視力も下がってしまい、外の世界が見えにくいという感覚になる。これも意識レベルが下がってしまったことが関係しているのかもしれないと愛子は考察をしている。意識レベルと体重や見た目はどうやら連動しているようだ。(続く)

 

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