身体的な特徴から性格を分析する(2)

おすすめの本

 続いて、左右型と言われる3種・4種を見ていこう。重心が左か右かどちらかに偏っており、重心が偏っている分、片方の肩が上がっているのが特徴である。3・4種ともどちらも感情と胃袋が繋がっている。特に3種の場合、何か怒ることや悲しいことなどが起こった場合でも何かしら食べ物が胃に入ると、たちまち機嫌が良くなり感情が落ち着くということが起こる。そのため、胃を酷使しがちである。病気などになってしまっても、食欲が回復してきたあたりで「もう大丈夫だ」と自身で決めてしまい、また食べ始める。面白いことに、食欲さえ出ればすぐに治るのだという。人間の身体は不思議なものだ。

 童顔、色白であり、行動は「好きか嫌いか」という感情が起点となっている。色彩への感覚が敏感であり、カラフルな洋服を好んで着ている。いつまでも若々しく、食べ物をプレゼントしてもらえることが一番嬉しいのだとか。台所で料理をすることが好き、というのも3種の特徴だという。

 4種においても3種と同じく感情が胃袋と繋がっているのだが、4種の場合は何かしらネガティブな感情が生まれる物事に直面すると、食欲がなくなるのが特徴的である。3種の場合は食べれば解決となるのだが、4種の場合は食べられなくなるのである。2種も胃への影響が出るが、2種体癖の場合は脳の緊張状態が胃へ影響を及ぼしている。4種の場合は感情の動きがダイレクトで胃に現れるのである。2種の場合は胃が痛むことがあるが、4種は食欲が無くなっても胃が痛くなることはあまり多くない。

 4種は一見穏やかに見えるが、内側の感情は怒涛の変化が起こっている。寝たら忘れる、という場面は多々あるのだが、喜怒哀楽の沸点は非常に低いのである。もし人の感情をグラフにして可視化出来たとしたら、4種は細かく波のように表現されるだろう。周囲に流されているように見えながらも、実は心の中では不平・不満が溜まっているということも見受けられる。偶数の体癖であるので周囲の影響を受けやすいのだが、4種の人は1人でいると眠くなるとも書いてあった。これはまさにわたしのことで、家に1人でいると途端に眠くなる。周囲の人の覇気に影響されて生きているのかもしれない。

 自分の考えで物事を決めるということが難しそうに見えて、実は心の中では答えが決まっているというのも特徴の1つだろう。誰かに、「どれがいいだろうか」と3つほど選択肢を見てもらっても、実は4つ目の選択肢が自分で決めている答えだったというエピソードが本書の中で書かれている。わたしは4種がメイン体癖でありながら、3種と5種も同じくらいの割合を持っているために、この話は共感ができるほどは分かっていないが、確かにそういった要素も持ち合わせている。3種が「好き・嫌い」を起点とした衝動的な行動を起こせるのに対して、4種は消極的かつ受け身である。「好き・嫌い」などの感情は内側に閉じ込めてしまい、感情が溜まってしまうと身体を壊す原因となるのである。

 続いては前後型と言われる5種と6種である。5種の重心は前にあるが、お辞儀をすると後ろに重心が移るという特徴があるようだ。肩に力が入っており、逆三角形の体型を持つ。肩で風を切って歩くような、肩を張る姿勢を取ると首が前に出てくる。呼吸が苦しいような体型になっていくので、5種は呼吸器官へ影響が出やすいという。考える前に行動するということでエネルギーを鬱散させており、行動の起点は「損か・得か」である。

 話は逸れるが、野口さんは本書の中でそれぞれの体癖について辛辣な視点で見ているが(少し悪口のようなことも書いている)、5種の記載だけは他の体癖と異なっていると感じている。野口さんは5種に憧れでもあったのだろうか。5種について、現代的で理想的だという褒めるような記載が多い。1・2種は「小馬鹿にしているのだろうか」と思ってしまうような悪魔的な実験をしており(悪口よりも酷いかもしれない)、3・4種に対しては整理整頓ができない上に化粧も下手な残念なタイプというような記載をしている。

 5種はそのような下げるような記載もなく、どちらかと言えば褒めるような視点で物事を書いているような印象を受けている。実際、5種のタイプはモテるのだそうだ。運動神経も良く、頭脳明晰。野口さんは「万事に現代的(p.161)」と記載している。俳優やスポーツマンなどに多いという。

 さて、6種も5種と同じく肩に力が入っているという。肩に力が入ってくると、6種は段々と陰気な雰囲気になっていくらしい。陰気な雰囲気になってしまうので、アツい言葉でバランスを取ろうとするのが特徴なのである。理想家で、大勢を動かす力を持っている。6種は大食いが多いというのも気になる点である。栄養補給のための大食いのようだが、大食いであるうちは身体の不調が治りにくいという。3・4種の場合は食べる場合に「美味しいこと」が大切なことなのだが、6種の大食いの場合は美味しいか美味しくないかは関係がないようだ。

 そして、お金の無駄遣いとも思える消費活動や浪費が、実はこの6種にとっては大切なエネルギーの発散方法であるのだが、この無駄遣いが出来なくなってしまうとヒステリックな性格へと変わっていってしまう。野口さんは「私がいろいろの体癖の人を調整しまして、一番警戒を要すると思うのは、この六種なのです。(p.174)」と説いている。身体を壊した時に親切にしてもらうと、その状況をまた作りたくて同じ症状を繰り返すのだという。

 ここまで『体癖』を読んでみて、病気というものはやはり心から起こっているものが大半なのではないかと思えてくる。無意識に、自分の身体を自分で壊せてしまうのである。「病は気から」という諺は言い得て妙である。身体の不調は心のSOSなのかもしれない。(続く)

 (※)参考文献・出典
  野口晴哉著、2013年「体癖」、筑摩書房

 

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました