はじまりの書

おすすめの本

 「始まりの書」という言葉を聞くと冒険もののRPGなどを思い出す。わたしにとっての始まりの書は間違いなく、The Artist’s Wayの本だが、もう一冊「始まりの書」として紹介したい本がある。

 かくれんぼパブリッシングより出版されている、「生=創×稼×暮」という本である。まず、出版社のかくれんぼパブリッシングという名前が素敵な響き。字も手書きのフォントで表紙に印字されていて、非常に可愛らしいので眺めているだけで癒やされる。

 この本は、「あなたが生きるとき、創ること・稼ぐこと・暮らすことのバランスをどのように保っていますか」という問いに対し、19名のつくり手がその答えについて綴っているという面白い構成の本である。つくり手というのも様々で、アーティストや作家だけでなく、職人やシェフなど、様々なバックグラウンドを持つ方々により書かれた本となっている。

 それぞれの視点から、上記の問いに対して考えたことが述べられているのだが、「稼ぐことが生きる上で一番大切」と言っている人が誰1人いないことが大きな特徴と言えるだろう。

 生きることの1つにおいて、稼ぐことがまず根幹であると思っていたわたしにとって、この本に書かれた内容はまさに目から鱗というものであった。なぜなら、”やりたいことをやって生きている方々”が、創ることへの情熱と暮らしの豊かさの重要さを説いているのである。「暮らしの豊かさ≠たくさん稼ぐこと」という話の内容が全書を通して説かれていた。

 少し話は逸れるが、わたしはお金を稼ぐことと豊かであることについての話題が最近頻繁に入ってくる(今わたしが向き合うべき事柄なのかもしれない)。直近で面白いなと思ったエピソードだと、お笑い芸人のNON STYLEの石田さんの話であった。

 某テレビ番組で話していた内容なのだが、石田さんは今子育てに夢中で、仕事もかなり厳選しているらしい。ご家庭の時間を第一に考えて仕事を選んでいるそうだ。その話をしていたときに、「豊かさはこの世界(芸能界)にはない」とテレビではっきり言い切ったのである。

 NON STYLEさんと言えば、漫才のコンテストのM-1でも優勝したことあるほどの実力者だ。お笑い界のトップまで登りつめて一時期は毎日のようにどこかの局の番組に出演していたような方がこのように言い切れるなんて、素晴らしい説得力だなと感心してしまった。

 もう1つ、YouTube大学でコンテンツを発信しているオリエンタルラジオのあっちゃんも、上記の話題と近しいことを自身の動画内で話していた。お金は不幸を最小にするものであって、幸せになるツールではないと。なるほど、これもわかりやすい。

 どうやらお金を稼ぐことと豊かに暮らすことは比例しないらしい。「豊かさは満たされること」だとわたしは解釈しているのだが、満たされることは消費をすることでは得られないのではないだろうか。

 そう、お金をたくさん稼いで何かを買ったり美味しいものを食べに行ったりすることって結局は消費をする側でしかないのである。もちろん消費する行動自体を否定したいわけではない。お金はエネルギーなので、出たり入ったりすることはもちろん大切なことであるし、消費をすることだって1つの生活である。自給自足の生活をしている人以外は全員日々何かしらを購入しているはずである。

 この「生=創×稼×暮」の著者たちは、全員がつくり手であり、世の中へそれぞれの自身の作品を送り出している。消費する行動(映画を観るとか、美術館に行くとか)はインプット、つくり手は自身の作品を世の中へ送り出すアウトプットと置き換えて考えると、豊かに生きることのヒントにならないだろうか。

上記も満たされる条件の1つだが、もう1つ重要なことは、やはりやりたいことをやっているかどうかじゃないだろうか。要は自分の内なる声と繋がれているかどうかということだと思う。

 本当にやりたいことがわからないという人には途方に暮れる話かもしれないが、そんな人はぜひ前の記事で散々書いてきている「ずっとやりたかったことをやりなさい」を1度読んでみてワークに取り組んで見てほしい。

 日々やることが多いわたしたちは、意識的に自分の声を聴こうとしないとノイズが多すぎて受け取れない。自身が満たされることはなにか?豊かな人生を送るにあたってぜひ1度自分と対話して見てほしい。

 

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